主訴が、肩こりや腰痛で来院される患者さまの中にも、生理痛・更年期症状が背景にあることが多く、当院の女性患者さまの7割が、生理痛・更年期症状や関連した肩こりや腰痛などの症状で針灸を受けていらっしゃいます。
生理の時にみられる痛みを総称して「生理痛」と呼んでいます。
生理痛の症状
下腹部痛と腰の痛みが主な症状です。随伴症状として、頭痛、吐き気、全身倦怠感、情緒不安定感などがあります。痛む場所や時期、強さは個人差があります。生理痛の程度がひどくて、寝込んでしまうようだったり、痛みのために家事や仕事、学業に支障をきたす場合は「月経困難症」と診断されます。生理痛の背景には、子宮内膜症や子宮筋腫の影響も考えられるので、一度、婦人科に行くのも大切です。また、針灸は薬のような副作用がないので西洋医療との併用も可能です。
生理痛の原因
病的な原因がない生理痛の主な原因は、肉体的なストレスや、精神的ストレスによる影響が大きいと考えられています。
生活環境から受けるさまざまなストレスは、自律神経のみだれにつながり、生理を主る女性ホルモンのバランスにも影響を及ぼし生理痛の要因をつくると考えられます。
更年期は、日本人女性の、平均閉経年齢である約50歳の、前後の5年間を指していますが、40~60歳とすることもあります。
更年期の症状
更年期の症状は、卵巣機能の低下により引き起こされる不定愁訴です。症状の程度は個人差があり、日常生活に支障のない程度から、外出もままならないほど重症化し、更年期障害とよばれる状態に陥る人もいます。生活環境や本人の性質によっても影響されます。
更年期の症状は、のぼせ・ほてり・発汗(ホットフラッシュ)を訴える方が非常に多いです。
更年期の原因
加齢により、卵巣機能が低下すると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少すると、卵巣にホルモンの分泌を命令している脳の、視床下部と下垂体から減少した女性ホルモンの分泌を補うように卵巣にむけてホルモンの分泌を命令する刺激ホルモンを分泌します。
しかし、卵巣機能が低下しているために女性ホルモンの分泌が少なくなり、ますます、視床下部と下垂体は刺激ホルモンを分泌して、過剰に興奮した状態になります。特に視床下部は、生体のリズムを主る自律神経の中枢なので、視床下部の過剰な興奮は、自律神経の働きをみだれさせます。この結果、不定愁訴(体の不調は自覚するが、検査では異常が見つからない状態)が引き起こされるのです。
生理痛・更年期の症状は、自律神経のみだれが大きく関与しているところから、みだれた自律神経の状態を回復させることが症状改善には大切です。
当院では、針灸やJRCで、自律神経の調整をして、生理痛・更年期の症状の緩和をはかり日常生活の支障が少なくなるように努めています。
針灸・JRCは、副作用がないので、西洋医にかかり服用しながらの治療もできます。
*症例は、患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。
症状
20代の頃より生理になるとお腹が痛くなり寝込んでしまう。腰回りも重くなり辛い、仕事は荷物の仕分けで作業量がおおいと症状も比例して強く感じる。また、職場での人間関係のストレスで気持ちも疲れて肩もこっているとのことでした。
身体診察
生理痛以外にも、さまざまな痛みやこり、ツボの反応がありました。
治療と経過
針が初めてなのでちょっと怖いとのことなので針は0.5ミリ位の深さにして、ローラー針、温灸器、箱灸などをくみあわせて筋肉や自律神経の緊張をゆるめてからだの乱れたバランスを回復します。針灸治療をしたあとに症状を確認すると肩が楽になったのとからだが軽いとのことです。くびや腰を動かしてもらうとまだ痛みが半分くらい残っているとのことです。そのあと、JRCで仙腸関節、せぼね、くびの関節の動きを回復させて終了です。最後に、置き針をして治療効果を高めます。治療後は、くび、腰の痛みも取れたとのことです。
その後、生理痛の痛みはあるものの寝込んでしまうまでにはならず、生活にも支障が出ない程度に落ち着いたと報告をうけました。
思ったこと
針灸治療は、生理痛の痛みを和らげ、体調を整え、生活のリズムを保つことに貢献できる治療だと思います。
針
温灸器
箱灸
ローラー針
JRC
この、症例はあくまでも、当院の臨床経験に基づくものです。同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。針灸の一般的な効果を意味する部分とは、異なる箇所もあります。
症状
10代の頃より生理になると下腹部が痛くなり、貧血による立ちくらみ、下痢になってしまう。生理薬はあまりの見たくない。今日は生理になって第一日目で、下腹部がとても痛いので少しでも痛みが軽くなればと思い来院した。
身体診察
足や太ももの内側、腹部や腰のツボに反応が現れていました