当院では、腰痛や神経痛を主訴に来院される患者さまが一番多いという結果がでています。ちなみに、厚生労働省によれば、原因が特定できる腰痛は(椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など)全体の15%で、残りの85%は原因が特定できない腰痛であると報告されています。
当院では、以下のような腰痛・神経痛症状に対して治療を行っています。分からないことがあればお気軽にご相談下さい。
鍼灸で腰痛が改善するのは、以下の生体反応が作用するからだと考えられています。
痛みの緩和
鍼をして痛みが緩和するのは、脳内(中脳)からの鎮痛物質(オピオイド)が放出され、鎮痛効果が期待できます。
血行の改善
鍼灸をすると血管が拡張し局所の循環が促されます。それにより、患部に留まっている疲労物質や痛みを引き起こしている炎症が酸素や栄養素と交換され痛みの緩和効果を期待できます。
筋緊張改善
筋肉の緊張している部分に鍼灸をすると筋肉の緊張を緩和することで疼痛の緩和効果が期待できます。
当院に、いらっしゃいます患者さまの、代表的な症状です。来院の際に参考にお役立て下さい。腰痛は、外見からでは原因の確認が難しい場合が多々あります。整形外科の受診もおすすめしています。
背ぼねと背ぼねの間にある椎間板はクッションの役割をして腰にかかる衝撃を吸収する役目をしています。この椎間板が正常な位置から飛び出して腰の神経を圧迫して炎症をおこし、腰から下肢にかけての強い痛みやしびれをおこします。
原因は、不良姿勢や加齢による椎間板の変形による神経への圧迫です。痛みが強くなると痛みをかばうため側弯(疼痛性側弯)になります。また、下肢の痛みが強くなり歩行困難になります。症状の程度により手術をします。
患部の疼痛緩和と血流の改善を目的に鍼灸をします。
脊柱管は、脊髄神経が通るトンネルです。加齢などで脊柱管が狭くなると脊髄神経を圧迫します。腰部の脊柱管が脊髄神経を圧迫すると神経の血流が悪くなり足がしびれたり痛くなったりして歩きづらくなります。
少し体を前かがみにして休むと血流が回復して歩けるようになります。(間歇性跛行といいます。)高齢の方に多い症状です。
腰部の血流を促す目的で鍼灸をしています。時間の経過で症状が戻りやすく対処的な治療になります。
仙腸関節の動きが障害されておきる症状ですが。痛みは仙腸関節にとどまらず足の付け根やヒザの内側などにあらわれ歩行時の痛みも引きおこします。過去に何度かしりもちをついたりするとおこりやすいです。
仙腸関節の動きを回復する目的で、仙腸関節周囲に鍼灸治療をします。
腰の筋肉に疲労がたまり硬くなったのが原因で、重だるさを腰全体に感じ前屈で腰に痛みがあらわれます。
放っておくと筋肉の伸びが悪くなり、ちょっとした動作で腰をひねり、ギックリ腰になることもあります。
腰部の炎症(炎症は72時間進行します)が治まると痛みが徐々に緩和してきます。 鍼灸をすると、痛みの緩和、痛みの後の腰部の違和感の軽減効果が期待できます。
最近特に増えつつある腰痛です。精神的なストレスにより自律神経がみだれると腰回りの筋肉の緊張が強くなり痛みがおこります。血流も悪くなり老廃物がたまりさらに筋肉の緊張が強くなる悪循環の連鎖がおこります。
当院でもこのような症状で来院されるが増えつつあります。
腰部の鍼灸治療と自律神経の調節効果が期待できるツボに鍼灸を行います。
梨状筋は、お尻にある筋肉で坐骨神経の真上に位置します。梨状筋に疲労がたまって硬くなると坐骨神経を圧迫するので足がしびれたり腰が痛くなったりします。
座っている時間が長いとお尻の筋肉のひろうがたまるので梨状筋も硬くなりやすいです。
梨状筋を中心に臀部の筋肉を緩める目的で鍼灸をします。
当院の腰痛治療は、腰に直接、鍼や温灸を施術をします。また、症状により、周囲の筋肉や神経の走行やつながり、骨格の構造などから、患部に影響を及ぼしていると考えられる。肩やお腹、足なども施術をして症状改善を促します。当院での腰痛治療で注目する●施術ポイント紹介します。
腰部
腰やお尻や背中にかけて●施術ポイントに鍼や温灸をしています。症状により横向きで施術する場合もあります。症状により、施術ポイント数や位置が変わります。
肩周り
首肩や肩甲骨周囲の筋緊張は腰の関節や筋肉の動きに影響を与えていると考えられる施術ポイントです。
下肢後面
腰の前屈動作に関連すると考えられる下肢の施術ポイントです。坐骨神経痛にも施術します。
お腹
腹部の緊張も腰痛に関連すると考えて施術ポイントに施術しています。
下肢前面
腰の後屈動作に関連すると考えられる下肢の施術ポイントです。坐骨神経痛にも施術します。
*症例は、患者さん個人が特定されないよう、内容に変更を加えております。
症状
一年以上前から、腰の重だるい痛みを感じるようになってきた。常に重だるい痛みをかんじる。仕事は清掃業で、脚立に上って作業をすることが多く、その際の不安定な姿勢での作業が、腰の負担になったのではないかと思っている。近所の整形でレントゲンを撮ってもらったら「骨には異常がないですね、腰の筋肉が硬いのが原因」といわれた。整形では、湿布と干渉波治療をうけていた、干渉波治療をうけ直後は楽になるが仕事をすると元の戻ってしまう。また、最近になって、左足もしびれるようになり仕事での脚立を使う作業中に足のしびれによって、脚立から落ちてしまうような不安感も感じるようになった。
身体所見
腰の触診…
腰部の筋肉の緊張あり。
左の臀部の筋肉の緊張と圧痛あり。
腹部の触診…
腹部の筋肉の緊張あり。
腹部が冷えている。(足の冷え、下痢しやすいとのこと。)
腰のツボの反応…
大腸兪、志室、左秩辺、承山、に硬結あり。
体幹の可動テスト
腰部
前屈(+)腰から背中にかけて重だるい痛みが強く感じるようになる。
右側屈(+)左のウエストラインが痛みを感じる。
右回旋(+)右に体幹を回旋すると背中が詰まるような痛みを感じる。
ボンネットテスト左(+)
このテストが陽性であることから、おしりの筋肉の梨状筋が、硬いために坐骨神経や血管を締め付けている状態可能性が高い
-しびれ●痛み
治療方針
ボンネットテスト陽性から、梨状筋症候群と考えられる。腰部の重だるい痛みと足のしびれの症状は、梨状筋が硬いために起きていると考えられる。治療は、梨状筋を緩めることと、梨状筋が付着する仙骨の動きを柔軟にすることが大切です。また、冷え症で下痢もしやすいなどの疲れやすい体質もあることから、お腹を温めて胃腸の働きを強めて回復力を引き出すことも症状の改善につながります。
治療
針灸治療
セイリン(0.12)×30ミリ 刺入深度:4mm 置鍼時間:各6分
仰臥位)…百会、手三里、中間、天枢、関元、左環跳、陽陵泉、左足三里、神穴(箱灸をする)
腹臥位)…天柱、頚胸椎移行部、膏肓、肝兪、志室、大腸兪、左秩辺、承山、(抜鍼後温灸器をする。)
JRC…仙腸関節、股関節、胸椎1.8.12、腰椎1.5
パイオネックス…大腸兪、承山、肝兪、関元、左秩辺
治療経過
治療後、腰の重だるい痛みや足のしびれは6割くらいとれたとのこと。その後、週一回の間隔で、3回ほど治療したら、翌日になっても症状が元に戻ってしまうこともなく、腰の重だるさがほとんどなくなり足のしびれに関しては、おさまったとのことです。脚立での作業の不安感も無くなったとのことです。また、下痢がなくなり、からだの疲れが以前に比べて少なく感じるとのことでした。現在、不定期に治療を受けにいらしています。
思ったこと
梨状筋症候群は、治療直後から症状の改善具合が比較てき実感しやすい症状です。また、腰痛の治り具合は、胃腸の働きと関連する部分もあり、胃腸の働きを促したのも治療効果にあらわれたのだと思います。
この、症例はあくまでも、当院の臨床経験に基づくものです。同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。針灸の一般的な効果を意味する部分とは、異なる箇所もあります。